オン・デマンド バス

危機に瀕する交通先進国、日本

世界経済フォーラムの最近の調査では、日本国内で持続可能な交通システムを有している自治体はわずか26%に留まっている。この事実が原動力となり、Spare Labsは2018年から日本の自治体やバス事業者との協業を開始した。


Josh AndrewsThursday, February 27, 2020

一般に日本の公共交通機関は、新幹線や大規模な地下鉄に加え、その驚くべき信頼性と定時運行で知られている。 しかし、この10年間で迫りつつある危機に脅かされている。 世界経済フォーラムによる最近の調査では、持続可能な交通システムを有している日本の自治体は26%に留まるという結果が報告されており、この問題は着実に進行する人口減少と高齢化により悪化の一途を辿っている。

2018年、この事実がSpare Labsが日本の自治体やバス事業者との協業を開始する原動力となった。 素晴らしいパートナーシップ(詳細後述)を通じ、交通インフラのデジタル化と共に、効率的で持続可能なオンデマンド交通を実現した。 本記事では、日本の公共交通機関が直面している課題と、その課題に挑戦する次世代ソフトウェアとドリームチームの取組みについて説明する。


日本を襲う危機

公共交通機関は社会活動において重要なツールである。経済利益を増加させると同時に、健康と安全の重要なバックボーンとして機能している。また、通勤手段として利用されることで、一人ひとりが個別に自動車を運転することを防ぐ効果も持つ。

日本では公共交通機関が広く利用されている。 東京の地下鉄利用者数 (35億人)は世界最高を誇り、2位のモスクワに10億の差をつけて圧倒している。同時に、驚くべき精度で定時運行しており、平均遅延は30秒未満に留まる。しかし、この状況は新幹線に乗り込み都心を離れると、変化し始める。

東京の都市交通を交響楽団とするならば、地方公共交通は高校の吹奏学部に例えられる。 強豪吹奏楽部であっても、そのリソースには限りがあり、利益を生むことは難しい。地方公共交通は多くの場合、タクシーやコミュニティバス、中・低頻度の路線バス等、様々なモードで構成され、こうした自治体は、全国で約65,000にものぼる。

これらのうち、平均年齢が65歳以上となる自治体は15,000(〜23%)にも上る。1950年では全人口の53%であった都市部居住者は、2014年には93%まで増加した。 この移住者のほとんどが若者であり、これにより地方は高齢化による衰退が進んでいる。また、人口減少もこれに拍車を掛けている。日本の人口は1億2800万人のピークから2010年に減少に転じており、今後50年間で30%以上減少することが見込まれる。

こうした状況下で65,000の自治体はどのように適応していくのか。この疑問に対して簡単な答えはない。予期せぬ変化により、国自体も不意を突かれている状況である。危機に瀕する地方公共交通機関を次の50年に繋げる打開策が切望されている。

公共交通の危機は、唯一の代替手段となる自家用車の利用増加を招いている。 当然のことながら、これは交通事故のリスクを高めると共に、その手段を持たない、特に高齢者を中心とした層に交通不便者を生み出している。交通サービスの不便さが、重要な通院機会を逃す原因となるケースも少なくない。また、脆弱な公共交通は地域の人口増加を妨げる要因となっている他、既存居住者の流出を伴い、経済・人口の負のスパイラルにも繋がっている。

好機

過去数年間に渡り、Spare Labsは世界中の都市において深刻化する交通課題への解決策を見出し、対処してきた。 Spare Labsは自家用車依存からの脱却に焦点を当て、その達成の為には、持続可能で利便性の高い、安価な交通手段を構築し提供するのに必要なテクノロジーを導入することが必要であることを認識した。

携帯端末からの予約及び車両追跡や、クラウドサーバー上の圧倒的な計算能力の活用といった技術進歩により、新しい交通手段が実現可能になってきている。 これらの交通モードは、自家用車所有の減少につながると共に、公共交通復活への道筋となることが分かった。

2019年初旬、KnowRoute(のるーと)と名付けられた新しいサービスにより、日本でこの問題に取り組み始めた。 KnowRouteは、福岡市で実施されているオンデマンドシャトルバスサービスの実証実験で、西日本鉄道と三菱商事の合弁会社であるネクスト・モビリティ社と共同で展開している。同社と共に、日本初となるサービスを構想、導入し、その運行を成功させることで、将来の全国的なサービスに向けた強固な基盤を構築している。

主なサービスエリアは、福岡市の北に位置する人工島のアイランドシティ。 アイランドシティは、高層マンションやスーパーマーケット、住宅地、スポーツアリーナ、工業地帯、大きな港、さらにはスパ施設をも備えた新しい都市開発地域である。また、福岡市中心部へとつながる鉄道駅も近くに位置している。 のるーとは、これらの主要地点間の移動手段、また、鉄道通勤者のファースト/ラストマイルソリューションを提供している。

のるーとという名前は、三種類の語呂合わせを由来としている。システムを動かすアルゴリズムであるSpare Engineは、ルートを「認識(Know)」し、予め決められたルートは「無い(No)」。 これらを、博多弁の「乗ると」と掛け合わせている。 初年度の順調な成長を元に、のるーとは今後他の地域にも展開され、日本全国の次世代モビリティモデルとなることを目指している。

また、このサービスは近年世界中の多くの交通システムで課題となっている、ドライバー不足にも対処している。

三菱商事の若林茂執行役員は、「公共交通事業者との対話を重ねる中で、今日のバス事業者が直面している赤字路線やドライバー不足といった、我々が挑戦するべき喫緊の課題を認識した。」と述べている。

Spare Labsは、日本固有の要件への適合を含め、のるーとの立ち上げにあたり複雑な開発実装を行った。この適合は、車両進行方向と停留所の位置を加味したルーティングの設計から、ゾーン毎の移動形態の設定にまで及んだ。

のるーとは、アイランドシティのすべての人々に信頼される公共交通オプションを提供しており、迅速で信頼性の高い移動手段として、大きな通勤需要も取り込んでいる。利用者はサービス開始から倍以上に膨らみ週間1,200人を達成、平均8分間の待ち時間にも満足頂いている。

また、このサービスにより、アイランドシティの多くの家庭の日常生活の改善につながっている。運行区域を面でカバーするこの交通手段を利用することで、例えば配偶者の駅への送り迎えに使っていた時間を、子供の通学に付き添えるようになったり、島内の医療施設へのタイムリーな通院が可能となったりしている。

のるーとの取組みは、日本の公共交通変革の始まりにすぎない。 のるーとは、世界クラスの技術を活用することで、交通格差を埋め、世界中で直面している危機に対処する方法を示している。その実現の為に、Spare Labsは、いかなる地域でも機能する、交通事業者に必要なツールを開発している。持続可能なモビリティの未来への移行を加速すること、これがSpare Labsの使命だ。我々Spare Teamはこの変革の当事者として、日本及びその他の地域で、公共交通事業者を効率的で持続可能な未来へと導く手助けとなることを非常に楽しみにしている。

4大陸で信頼され、更に拡大を続けるSpare Platformは、都市および交通事業者による、オンデマンドシャトルバスを含む次世代のモビリティサービスの計画、導入、運行、分析を可能にします。 福岡や、2019年に北米APTAの最も革新的交通システムに選ばれた米テキサス州ダラスなど、世界の大都市で次世代の交通システムを構築するコア技術として、Spare Platformが利用されています。 Spare Labsの詳細については、 https://sparelabs.comをご覧ください。